三菱マテリアルは8月21日、次世代半導体パッケージにおける半導体チップを配置するためのキャリア基板向けに、最大600mm角の「角型シリコン基板」を開発したと発表した。 

 クラウドサービスや人工知能(AI)の普及に伴い、サーバー用CPUやGPUが高性能化する中、「チップレット」という技術を用いたパッケージの採用が増加している。チップレットは複数の半導体チップを個別に製造し、これらを基板上で組み合わせて1つのパッケージ内に収める技術である。 

 同技術を使用した次世代半導体パッケージは100mm角程度まで大型化が進んでいる。こうしたパッケージング工程では、多くの場合、キャリア基板に300mmウエハなどを利用するWLP(Wafer-Level-Package)が活用されているが、ウエーハの面積が小さく円形状であるため、効率よくパッケージをウエハ基板に収められないことが課題となっていた。この課題を解決するには、キャリア基板を四角形状かつ大型化する必要があるが、単結晶のシリコン材料から大型のシリコン基板を作ることは技術的に困難であることから、キャリア基板に大型のガラスパネルなどを利用したPLP(Panel-Level-Package)が開発されている。ところが、ガラス材料は剛性が低く、熱伝導率も低いため、チップ間を繋ぐ再配線層(RDL : Redistribution Layer)形成時の加熱工程における偏熱や熱収縮により、反りが発生することが課題であった。 

 そこで同社は、従来から培ってきた大型シリコンインゴットの鋳造技術と、当社独自の加工技術を組み合わせることで、高平坦度且つ低表面粗さを実現した大面積且つ四角形状の「角型シリコン基板」を開発。従来の300mmウエーハと比べて大幅に取り数が増加するとともに、高い剛性と熱伝導性能により、ガラス基板における課題であったRDL形成工程での反りも改善できることを確認した。 

 「角型シリコン基板」は300mm×300mm、510mm×510mm、600mm×600mmの3つのサイズを用意する。半導体製造の後工程請負会社(OSAT)を納入先に想定し、2025年度には少量生産を始める見込みである。