2024年5月6日、米半導体大手、Intelと日本企業14社が半導体のパッケージング・アセンブリーやテスト工程といった後工程を自動化する技術を日本で共同開発することが発表された。前工程の技術が物理的に限界に近づく中、技術競争の舞台は後工程に移りつつあり、自動化によって国際競争力を強化する狙いがある。 

 現在、需要が急拡大する生成AIや自動運転向けの高性能半導体では、2.xDや3Dパッケージなど、後工程パッケージング技術がキーテクノロジーとして進化を続けている。一方、後工程の製造ラインは各工程間の搬送・受け渡しを手動で行っていることが多く、自動化が急務となっている。 

 参画する企業はIntelのほか、SEMIジャパン、オムロン、ヤマハ発動機、レゾナック・ホールディングス、信越化学工業傘下の信越ポリマーなど15の企業/団体。これらの企業は「半導体後工程自動化・標準化技術研究組合」(SATAS)を4月16日付けで設立し、Intel日本法人の鈴木国定社長が代表理事に就く。 

 SATASは数百億円を投資し、数年以内に国内に実証ラインを立ち上げ、自動化に対応する装置を開発、後工程の完全自動化を目指していく。後工程に関する技術の標準化を進め、複数の製造装置や検査装置、搬送装置をシステムで一括管理したり制御したりできるようにする。2028年までの実用化を目指す。経済産業省からの最大数百億円の補助金も見込んでいる。 

 後工程自動化には技術競争のほか、地政学リスクの軽減という狙いもある。これまでの後工程ではチップの搬送や製品の組立は手作業が多いため、人件費の安い中国や東南アジアに工場が集中していた。特に中国は2022年時点で世界の後工程工場の生産能力の38%を占める。米国の製造受託企業幹部によれば、「欧米の顧客が供給網条の中国リスク軽減を要望」しており、人件費が高い日本や米国に拠点を構え、地政学的リスクを軽減するには自動化・無人化技術が必須であると判断した。 

出典:株式会社レゾナック ニュースリリース