韓国・Samsung Electronicsは6月12日、米カリフォルニア州サンノゼにある米半導体本部で開催した年次ファウンドリフォーラムにおいて、AI時代に対応する半導体技術ロードマップを公開した。フォーラムでは、顧客のAIアイデアを具現化するため、同社の最先端ファウンドリ技術に加え、メモリ、先端パッケージ分野との協業を通したシナジー創出などの戦略が提示された。

同社では、顧客の多様なニーズに応じるため、AI、HPC、エレクトロニクス、エッジコンピューティングといった分野別に特化したプロセスを提供している。今回、既存のファウンドリ工程ロードマップに加え、BSPDN(Back Side Power Delivery Network)技術を適用した2nmプロセス(SF2Z)を2027年までに量産開始すると発表、第1世代2nmプロセスに比べて電力、パフォーマンス、面積(PPA)が向上し、電圧降下(IRドロップ)も大幅に削減され、HPC設計のパフォーマンスが向上するという。(図1)

図1 ロジックデバイス向けトランジスタのロードマップ

また、既存の4nmプロセスに比べて光学的縮小を通して、PPA競争力を向上した「SF4U」についても2025年に量産を予定していると発表した。なお、同社は3nmプロセスにGAAトランジスタ技術を採用しているが、2nmプロセス以降にもこれを適用する予定である。

同社は1.4nmプロセスについても2027年の量産開始に向けて準備しており、目標としていた性能と歩留まりを確保していると明らかにした。

加えて、同社は統合AIソリューションを発表。ファウンドリ、メモリ、先端パッケージの分野間の協力を通し、高性能、低電力、高帯域幅の強みを備え、顧客の市場投入までの時間が短縮され、総処理時間が20%も改善されるという。また、今後、2027年にはAIソリューションに光学素子までを統合した「ワンストップAIソリューション」の実現を目指すとしている。

図2 AI半導体パッケージロードマップ

ファウンドリ市場では台湾・TSMCが2024年1~3月期に61.7%と前四半期の61.2%に比べて上昇したのに対し、サムスン電子は11.3%から11.0%に減少している。現状、TSMCに大きく水を開けられている状態だが、新たなロードマップを携え、巻き返しを図る。

出典:Samsung Electronics Newsroom