4月16日、経営不振が続く半導体メモリ大手のキオクシアホールディングスが上場手続きを再開させる案が浮上したことがわかった。AI(人工知能)の普及により、データセンター向け半導体メモリの需要増が見込まれるため。上場によって研究開発や設備投資の資金を確保する狙いがある。早ければ2024年内に東京証券取引所への上場を目指す。

株式の過半数を保有する米投資ファンドのベインキャピタルが15日にキオクシアの取引銀行に新規株式公開(IPO)を目指す方針を伝えた模様だ。

キオクシアは2020年にも上場を予定していたが、米中対立により、米政府がキオクシアの主要取引先だった中国通信機器大手に対する規制を強化し、出荷が停止されることによる業績の悪化が懸念されたために断念していた。

キオクシアは2023年4月~12月期連結決算で2,540億円の最終赤字を計上した。しかし、1年以上に及ぶ減産によって顧客の在庫整理が進み、損益は回復の方向に向かっている。また、2025年以降、米国のIT大手が生成AI関連のサービスを本格させることが予定されており、2024年後半に向け、AIデータセンター向けNANDの更なる需要増が見込まれている。同社はこれに向け、新たに4,500億円を投資して先端メモリ半導体の量産を計画するなど、研究開発や設備投資の資金調達手段を模索していた。

なお、キオクシアは上場を目指す一方、同社株を保有する韓・SKハイニックスの同意が得られずに2023年秋に計画が頓挫していた米・ウエスタンデジタル(WD)のメモリ事業との統合交渉についても、引き続き検討する方針である。