6月26日、半導体メモリ大手のキオクシアが近く東京証券取引所に上場の予備申請をし、10月末の新規株式公開(IPO)を目指すことがわかった。生成AIの需要の高まりに伴うデータセンターの建設ラッシュを背景にNANDフラッシュメモリの市況が回復し、同社の2024年1~3月期の営業利益も439億円と6四半期ぶりに黒字に転換し、IPOが実現可能と判断した。

同社は前身である東芝メモリが2018年6月に米投資ファンド、ベインキャピタルを中心とする企業連合に売却されて以来、3年以内での上場を目指す方針をとっていた。2020年10月のIPOで東証から上場の承認を受けたものの、市況の悪化などを理由に延期されていた。

関係者らによると、キオクシアは8月末に本申請し、10月末の上場を目指す。急ピッチでIPOの準備が進められているが、進捗状況によっては上場が12月にずれ込む可能性もあるとのこと。なお、同社の上場は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と野村証券が支援する。

上場により、キオクシアは新株を発行し、単独で資金を調達する。また、ベインキャピタルの保有株も一部売却し資金を回収する見込み。調達した資金を積極投資することで再浮上のきっかけをつかみたい構えだ。

なお、同社は6月17日に三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクとの間で6月に期限を迎える約5,400億円の返済期限の延長と、2100億円の追加融資枠を設定したと発表し、銀行団からの支援強化に成功している。半導体メモリ市況の好転が同社への期待を生んでいる。

キオクシアは、「IPO計画について新しく共有できる情報は無い」とし、上場に関するコメントを控えた。