ソニーグループは、2022年5月26日に発表したイメージング&センシング・ソリューション分野の事業戦略において、CMOSイメージセンサ(CIS)の製造拠点であるソニー・セミコンダクターソリューションズ社長崎テクノロジーセンター(長崎TEC)の生産能力を増強する計画を示した。長崎TECでは2021年4月に稼働を開始したFab5の拡張を進めており、本年(2022年)7月から拡張部分の稼働を開始する予定である。今回の発表で、2022年5月から更なる拡張に着手していることを明らかにした。追加の拡張により、Fab5のクリーンルーム面積は7月稼働分を含む現在の面積から60%拡大して約3万7,000m²にする。新たな拡張分については2023年の稼働開始を目指している。拡張する能力、投資額などは明らかにしていない。
同社では、2021〜23年の3年間のイメージセンサ向け設備投資額を、今回明らかにした増強分も含めて、従来計画から約2,000億円拡大し約9,000億円とする。
なお、同社では台湾Taiwan Semiconductor(TSMC)社などが熊本に工場建設を行っているJapan Advaned Semiconductor Manufactuirg(JASM)にも約570億円を出資している。
世界のイメージセンサ市場は2022年度から2030年度まで年平均約9%の成長を見通している。同社ではイメージセンサの世界シェアを21年度実績の43%から2025年度には60%にまで拡大することを目標としている。

スマートフォン向けイメージセンサは、近年のトレンドであった多眼化は3〜4眼で落ち着いて来たものの、センササイズが、大画素/大口径化しており、それによって単価が引き上げられ、高級機種向けが今後も売上を牽引し、2022年〜2030年までで、平均10%で市場は上昇していくと見ている。

 

また、今後のイメージセンサの成長産業である車載向けイメージセンサについては、2022年〜2025年の年平均成長率は21%で推移すると予測し、今後2025年時点までにTOP20のOEMメーカーと取引をすることを見通している。同社では、コンセプトカー「VISION-S」を国際家電見本市であるCESにて発表し、その後ソニーモビリティという新会社を設立、22年3月には自動車販売国内3位のホンダと次世代モビリティ分野における提携を発表しており、比較的弱いとされていた車載分野での巻き返しを図る。