半導体売上でIntelから世界一を奪還した韓国のSamsung Electronicsだが、最先端プロセスの歩留まり率では、台湾のTSMCとの差はまだまだあるようだ。

同社では「MBCFET(Multi Bridge Channel FET)」と呼ぶGAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造を適用して、2022年前半に3nmプロセスの生産を開始している。しかしながら、現在の良品率は10%〜20%に留まっているとwccftechは報じている。これは同社4nmプロセスの35%と言われる良品率を大幅に下回っている。
一方、TSMCの4nmプロセスの良品率は70%とされており、Samsungの2倍に当たる。更にTSMCは3nmプロセスを従来のFinFETで行うとしているが、同社のウェイCEOは、2022年後半に3nmプロセス技術を量産に移行する予定としており、リスクの高いGAAと比較すると、3nmの歩留まりはTSMCの方が高いと見られる。

今後、Samsungが3nm GAAプロセスの良品率を改善できない場合は、QualcommやMediaTekといったファブレス企業は同社に半導体製造を委託せず、金額が高くなってもTSMCに委託するのでは無いかと見られている。

今後、Samsungの最初のGAAノードはGAAの初期バージョンである「3GAE(3nm Gate-All-Around Early)」で、2022年末に量産を開始すると見られている。3nm MBCFETノードは、5nmプロセスと比較して面積を最大35%削減、性能を30%高め、消費電力を50%削減できるという。一方、TSMCは2nmプロセスでGAAを適用する見通しだが、新技術の為リスクが大きく、2025年に立ち上げる見通しを持っているという。