ニコンは2022年4月7日、2022年度から2025年度までの中期事業計画を発表した。全社目標は、売上高7,000億円以上(2021年度見通し5,500億円)、営業利益率10%以上(同8.5%)を目指している。映像事業、精機事業という主要事業で安定収益を確保し、もう一方で、ヘルスケア、コンポーネント、デジタルマニュファクチャリングといった「戦略事業」の拡大を図る。
精機事業全体では、2025年に売上高を2021年度見込みの2,200億円から13%増の2,500億円超を目指す。精機事業内の半導体製造装置事業では、顧客計画への的確な対応、新規顧客の拡大、検査・計測など周辺装置の拡販等で、920億円程度にまで売上高を伸ばす計画。
半導体向け露光装置では、チップ積層(3D化)に対応した高精度の位置合わせ、高生産性を実現する3D対応装置の強化を図る。さらにメンテナンス、パーツ、移設、改造など既設装置を対象とするサービス事業の強化を進める。
新しい成長ドライバとして「デジタル露光」技術の確立と事業の立ち上げに力を入れる。デジタル露光は、マスクを使わず、マイクロミラーデバイスを用いて、回路パターンを直接ウエハに転写する技術。デバイスの高速試作、多品種変量生産などに適している。またフォトマスクを省くことによるコスト削減も可能になる。デジタル露光は、10年先を見通して、パートナーと協力、実用化を加速していく。微細化、3次元化といった既存露光装置とは異なる価値の提供をR&D・試作向けから事業化を行い、2030年度に向けて収益に貢献する事業に育成することを目指す。
半導体関連ではこのほかにEUVマスク製造装置などに使用されるEUV関連コンポーネント事業に関しても、新し成長ドライバとして生産能力の増強、高NA対応による事業拡大を進める。