日本政府は、11月15日に行われた「第4回 半導体・デジタル産業戦略検討会議」において、世界各国が半導体産業増強に向けて、世界の半導体市場が2030年には2020年の2倍になることや、世界各国が多額の補助金を導入していることに触れ、「他国に匹敵する支援とそれを支える法的枠組みを構築し、複数年度にわたる継続的な支援を行う」と目標を発表した。

具体的には、
STEP1:安定供給や安全保障上のリスクとなる、海外サプライチェーンからの脱却を狙った、「 IoT用半導体生産基盤の緊急強化」
STEP2:2020年代中盤からの実用化を目指し、有志国の海外ファウンドリと連携した(TSMCが有力か)①先端半導体製造プロセスの前工程(More Moore、微細化ビヨンド2 nm)、②後工程(More than Moore、3Dパッケージ)や、次世代パワー半導体等の次世代半導体技術開発の実施及び、IBMやIntelを念頭に置いた「日米連携による半導体技術の強化」
STEP3:2030年代以降にゲームチェンジを起こす可能性がある「光電融合技術」で先行するための研究開発プロジェクトの立ち上げや、IMECやオルバニーを目標とした「グローバル企業と産学連携のために自律的に発展していくための体制構築」

の3つの戦略を柱としつつ、今後これらを支えていくための事業環境を整備していくことの重要性も盛り込まれた。

その方針の一つとして、「半導体集積回路分野のアカデミアに対する支援強化」の方針が示され、具体的には、

①産学共創によるテーマ設定:「未来社会で求められる」×「これまでの強みを生かせる」半導体の研究開発テーマをユーザー企業 側のニーズも踏まえながら設定し、学術にとどまらない研究開発目標とその実現に向けた戦略を拠点自らで策定。 【例】スピントロニクス、ニューロモルフィクス、フォトニクス、トポトロニクス等の新しい切り口による、従来比1/100倍の消費電力を実現する半導体や AIやロボット等の特定用途を志向した半導体等
②基礎・基盤から実証までの研究開発:幅広い分野にまたがる異分野融合のチームを編成し、原理や材料の探求からプロトタイプ試作 までの研究開発サイクルにより、掲げたテーマを集積回路レベルで実証。
③現場経験を通じた人材育成:「設計→試作→評価」サイクルを通じ、プロセス全体の幅広い知識と半導体をデザインする力を備えた人材を育成。

これらを今後10年に渡って取り組んでいく姿勢が示された。

今回の会議には、産業界からはNTTの澤田社長、キオクシアの早坂社長、JSRの川橋社長といった面々や、萩生田光一経済産業大臣も出席した。

この第4回半導体・デジタル戦略検討会議の詳細は経済産業省のホームページ内より確認することが出来る。