米民主党のChuck Schumer上院院内総務は2021年5月18日、米国内における半導体の生産、研究開発(R&D)の大幅強化に向け、5年間で520億米ドルを支援する超党派法案を公表した。支援策の内訳は、390億米ドルが半導体生産と研究開発へのインセンティブ、105億ドルはR&D関連事業に投資する。
Schumer上院院内総務は、今回の法案について「米国が今後も半導体生産の最先端を行けるように図る狙い」があるとしている。さらに「半導体を外国に依存することは断じてできない」とし、「今回の修正で依存する必要がなくなるだろう」と述べている。
今回の半導体業界への支援案は、審議開始が予定されている、米国の基礎・先端技術研究などへの5年間で約1,200億米ドルを支援する法案に統合される。
米国の半導体産業への支援に関しては、すでに2021年の国防権限法で規定された半導体関連措置の財源として495億米ドルの手当てが定められている。しかし、現在まで実際の資金提供は行われていないことから、Schumer上院院内総務は、「今回の法案が、国防権限法の半導体関連措置の早期実施を後押しすることになる。」ともしている。
また、米バイデン大統領は2021年3月31日に発表した成長戦略のなかに、半導体産業の米国内生産回帰の実現に向けて500億米ドルを投じる計画も盛り込み、予算措置を呼び掛けてきた。
米国半導体工業会(SIA)は2021年5月19日、米国政府による一連の半導体産業への支援策の効果について、Oxford Economicsと連携、米国内半導体生産への力強い投資から出てくる米国での半導体workforceおよび経済的利点を分析する研究報告レポート(“Chipping In: The Positive Impact of the Semiconductor Industry on the American Workforce and How Federal Industry Incentives Will Increase Domestic Jobs”)を公表している。
同レポートでは、半導体業界にhigh-paying R&D, 設計, および製造jobsで49州にわたって277,000名を上回る直接雇用があり、160万の米国民の仕事の追加をサポートする、としている。また、国内半導体製造を動機づける500億米ドル規模の連邦投資プログラムを実施することにより、米国内に年間平均18万5,000名の雇用が創出され、米国経済に年246億米ドルが追加されるとの見通しを示した。

この投資プログラムによる新しい半導体製造拠点あるいは工場が、2021〜2026年に構築されていくことになるとの見通しを示している。