ウエハファウンドリ世界最大手の台湾TSMCは、顧客に対して最大で20%もの製品の値上げを通知している事が判明した。値上げの実施時期は2021年後半〜2022年前半あたりを予定しており、7nm以下の先端プロセスでは最大で10%程度、車載向けの先端プロセス適用チップの先端プロセス(16nm以下)は最大で20%もの値上げを実施する。

TSMCの主要顧客であるアップルを始め、多くのデバイスメーカーがこの影響を被ると見られており、今後最終製品であるスマートフォンやタブレット、PC、乗用車といった製品の値上げも懸念される。

TSMC値上げの理由としては、一つは今後取引のあるSiウエハをはじめとした材料メーカーもまた、需給バランスが崩れる中、値上げを実施してくることに対応することが考えられる。
もう一つは、売り手が圧倒的有利で、値上げを実施しても問題が少ないこの時期に値上げを行い、今後の設備投資の増強に回すといった事が考えられる。

TSMCではこれまでも研究開発に積極的に投資を行っており、IntelやSamsungといったTSMCより売上で上位を行くメーカーの設備投資金額が2016〜2020年では売上の25%程度なのに対し、(samsungは2019年のメモリバブル崩壊以降、売上比で上昇)TSMCでは売上の30%以上を設備投資に当てている。現在も積極的に投資を行っているのは知られた話で、2021年以降の3年間で1,000億米ドルもの投資を計画しており、世界一の半導体ファウンドリとしての地位を揺るぎないものにしたい考えだろう。

株式市場はこのニュースを好意的に受け止め、TSMCの株価は8月24日の終値112.11ドルから、この報道があった翌8月25日は最高で5%以上上昇の118.94ドルに跳ね上がった。