菅義偉首相が訪米して現地時間16日に行われた日米首脳会談では、日本とアメリカの両国が経済活動と技術構築それぞれで連携していく事を確認した。今後は5Gと6Gの最先端通信技術の開発に、日本が20億ドル、米国が25億ドルを出資して、最先端通信技術の先頭を行く中国に対抗するため、「多国間基金」も視野に入れ、参加国の拡大も検討し、信頼できる通信網の構築を急いでいく。

バイデン大統領は「これらの技術は専制主義ではなく日米が共有する民主主義に基づくものだ。安全で信頼できる5Gのネットワークの構築を推進し、半導体などの重要分野のサプライチェーンに関する協力を拡大する」と述べ、先端技術で台頭する中国への対抗姿勢をにじませた。日米両政府は、半導体など重要部品の安定供給網(サプライチェーン)の構築でも協力する調整に入っており、研究開発や生産の体制を役割分担するため、関係省庁による作業部会を設置する。

また、両国は台湾海峡の平和と安定の重要性を共同声明に明記しており、中国は台湾を共同声明に明記したことに反発し、アメリカと日本が真の驚異であると牽制した。

日本の半導体産業にとっては、中国は米国から先端装置を購入出来ないため、日本の半導体製造装置は今後の中国の半導体製造能力増強のためには欠かせないパートナーである。一方の台湾は先端半導体を製造するために日本の多くのメーカーの製造装置と材料を使用しており、この要求に応える事が、日本の半導体産業を支える屋台骨ともなり、中台双方共に重要な取引相手である。

先月米Applied MaterialsのKokusai Electric買収が承認されなかったように、中国は日本とのサプライチェーンが分断されることを恐れている。米国としてもそこに踏み込んでしまえば、技術優位性は保てるが、地政学リスクは相当に高まるため、米中が一歩も引かない現在、米中それぞれの要求の加速と、それに伴う日本の対応次第ではさらなる地政学リスクが発生する難しい状況であると言える。