2024年12月2日、米国商務省安全保障局は中国に対して半導体輸出管理の強化を発表した。

中国に対して、軍事転用が可能な先端技術を持つAIの開発を遅らせることと、中国が独自のサプライチェーンで半導体製造を実施することを阻害する事が今回の輸出管理強化の目的である。

半導体製品の輸出を禁じた「エンティティ・リスト」には140社に上る中国企業を追加。140社の中には、NAURA(エッチング、成膜装置)、AccoTest(テスタ)、ACM Researach(洗浄装置)、Beijing E-Town Semiconductor Technology(アッシング、熱処理装置)、Skyverse(計測装置)、Piotech(成膜装置、接合装置)、Kingsemi(洗浄装置、コータ・デベロッパ)といった大手の製造装置メーカやそれらに投資する企業が主な対象となっている。

また、輸出規制対象の装置ではエピタキシャル成長、イオン注入、ドライエッチング、CVD、ALD、リソグラフィ、スパッタ、露光装置、マスク描画装置、コータ・デベロッパ、洗浄装置、ペリクル製造装置等が規制対象に追加された。半導体材料ではマスクやレチクル、EUV用ペリクルといったリソグラフィ関連の材料が規制対象に追加されている。

また、米国産のHBM及び先進コンピューティングに対する外国直接製品(FDP)ルールに基づき米国外で生産されたHBMを規制対象に追加し、現状HBMを生産しているMicron、Samsung、SK Hynixの3社の製品が例外を除き中国に輸出することが出来なくなる。

一方、現在既に米国の要請を受けて対中輸出規制を実施する日本やオランダを始めとした30ヶ国は規制対象から外れている。一方で韓国や台湾などは規制対象に入っており、対象製品を中国に輸出する際は、米政府に許可を求める必要が必要。

また、今回の規制では規制対象国は製品に一定程度の米国産品が含まれている場合、それを中国に輸出する際には米政府の許可を求める「外国直接製品規則(FDPR)」を改定した。

一方、この米国の輸出規制を受けて中国は反発し、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンといった原材料の米国向け輸出を禁じる措置を12月3日に発表している。