8月29日、オランダ政府が同国の半導体製造装置メーカーのASMLに対し、中国で半導体製造装置の修理やメンテナンスを行うことを制限する方針であることが明らかになった。国内の半導体産業の強化を急速に推し進める中国にとっては大きな打撃になるとみられる。

米バイデン政権が今年に入り、オランダ政府に対し、ASMLの半導体製造装置の中国向け輸出を規制するように圧力をかけていた。中国は同社にとって世界で3番目に大きな市場で、中国顧客向けの受注は同社の受注全体の20%を占めている。先端製品は既に輸出規制がされているが、さらなる規制の強化は同社の業績に大きな影響を及ぼすため、オランダ政府は慎重な姿勢を示していた。製品自体の規制を強化する前に、サービス部分の規制を強化することで米政府との足並みを揃える。

規制対象となるのはASMLのDUV(深紫外線)露光装置に関する中国でのメンテナンスサービスやスペアパーツの提供。オランダ政府はこれらに対し、ASMLの一部ライセンスが今年末に失効した後、更新しない可能性が高い。同社の半導体製造装置は稼働を維持するために不可欠な保守契約と共に販売されている。メンテナンスが出来なくなれば、一部の装置が来年にも使えなくなる可能性がある。中国は露光装置に関して、ASMLのDUV露光装置に依存しており、同装置が使用できなくなれば、HUAWEIやSMICといった中国企業の技術進歩も難しくなる。

本件に関し、ASMLとオランダ外務省はコメントを控えた。