10年以上前から、レンズ交換式カメラには、ミラーレス式と呼ばれる製品が台頭してきた。ミラーレス式では無い通常の一眼レフカメラには、レンズ越しに見える景色をミラーで反射させて、ファインダーに撮像を届ける方式が採用されていたが、ミラーレス式は小型軽量化の為にミラーを省き、レンズ越しの撮像の確認は背面の液晶やEVF(電子ビューファインダー)が採用された。

当初、ミラーレス式カメラは小型、軽量であることから、可愛らしいデザインを採用して、新しく写真を始める若年層の女子を中心に人気を博した。ミラーレスの発売当初は、液晶が用いられ、EVFの応答性、ダイナミックレンジも良くなく、ハイアマチュアやプロからは敬遠されていた。

ミラーレス発売当初、市場を牽引したオリンパスのミラーレス一眼

しかし、ミラーレス1眼レフの市場を新たに開拓したのがソニーであった。ソニーは旧ミノルタのカメラ事業を受け継ぎ、αのブランドを受け継いでいたが、キヤノン、ニコンからは大きく離されていた。一方でソニーはミラーレス市場が出来てから、徐々に存在感を増していた。デジタルビデオカメラの分野で長年製品を開発し続けたことや、裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発し、高感度域のノイズを大幅に低減させられたことが大きい。

ソニーは2013年、フルサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレス一眼レフα7を発売した。キヤノンやニコンの上位機種とも遜色ない性能を持ったこのミラーレスは急速に普及した。有機ELディスプレイの技術の研究を続けたことも大きく、EVFには有機ELが採用され、液晶からの応答性の改善に貢献している。

とはいえ、ミラーレス一眼では、動きの早いもの(動物、スポーツ、乗り物)に焦点を合わせるとどうしてもタイムラグが気になってしまう。
現に、ニコンとキヤノンは2020年(東京オリンピックが行われるはずだった)にオリンピックでプロが使用する為のフラッグシップ機をフルモデルチェンジして発売したが、そのどちらも光学ファインダーは搭載されていた。

一方、高性能ミラーレスの元祖であるソニーはオリンピックが開催される(おそらく)今年、αシリーズ初のフラッグシップ機を発売した。価格はおよそ80万円、キヤノン、ニコンのフラッグシップと同等の価格設定だ。ついにEVFは光学シャッターの応答性能を捉えたようである。ミラーレスの利点を活かし、シャッターを切っても、画面がブラックアウトすることなく1秒に30コマの撮影が出来るという。さらにEVFのフレームレートは240fpsと超高速、それでいて944万ドットもの高精細さを持つという。ズームレンズをつけたカメラを高速で振ってみても、ファインダーの追従性にはタイムラグは感じられなかった。

ソニーはスマートフォン向けのイメージセンサーで世界首位に立つが、マイクロOLEDの技術も世界屈指である。500万台を販売したPS VRもマイクロOLEDを搭載していた。

0.5型マイクロOLED ECX339A

そのような技術、実績もあることから、アップルが今後発売すると見られる「Apple Glass」のディスプレイもソニー製を搭載するのではないかと言われている。(TSMCの可能性もある)

テレビ向けはLG、スマートフォン向けはサムスンと韓国勢がOLED市場を寡占する中、今後さらなる普及が期待されるマイクロOLED市場をソニーが牽引していけるかが注目される。