2021年3月19日、ルネサス エレクトロニクスの那珂工場N3棟300mmラインで火災が発生した。同日午前2時47分頃に火災発生を確認。同日午前8時12分頃には、消防により、火災の鎮火を確認した。

焼損面積は約600m2で、N3棟1Fのクリーンルーム面積(1万2,000m²)の内、約5%に相当する。また焼損した製造装置は、11台で同棟の全製造装置の約2%に相当するという。

出火元はN3棟1階のめっき装置で、過電流が出火につながったと見られるが、過電流発生の原因、発火の経緯については、現在調査中である。

200mmラインのN2棟とテスト棟は稼働中であり、製品出荷を継続している。N3棟の2階のラインは直接の影響はないが、1階のラインと一体運用を行っていたため、当面は稼働できない状態となっている。

3月21日の会見で、生産再開は早くても1カ月後になるとの見通しを示している。1カ月という目標は、装置調達、立ち上げなど、「すべてがうまくいけば」(柴田社長)可能となるいうもので、実際はさらに長期化する可能性が高い。

被害ラインの生産品のうち、66%が自動車向け。そのうち車両制御などを行うマイコンが64%、ADAS(先進運転支援システム)などに搭載するSoCが34%を占めている。

同社では1カ月の在庫は確保しており、当面の製品供給に問題はないとしている。しかし、在庫が無くなる4月末以降は、自動車メーカの生産にも影響が出てくると見られている。

同社は2020年第4四半期以降、TSMCの生産能力不足に対応するため自社製造の比率を高めていた。それだけに今回の火災、生産停止は、世界的な半導体供給悪化に拍車をかけることになった。

また、20年10月の火災により稼働を停止している旭化成マイクロエレクトロニクス(AKM)の代替生産も行っており、AKM製品の供給にも大きない影響を与えることになる。