大陽日酸は2025年6月27日、車載向けパワーデバイスの接合材として、銅ナノ粒子を用いた接合ペーストの開発に成功したと発表した。

AIデータセンターや電気自動車の普及を背景に、パワーデバイスの高性能化へ向けた動きが加速しており、電力効率の高いSiCを使用したデバイスの採用が進んでいる。ところが、従来のSiデバイスで使用されてきたはんだ系の接合剤では、高温で効率的な動作が見込まれるSiCパワーデバイスには不向きなため、耐熱性の高い銀や銅の微粒子を用いた金属焼結型接合材が注目されているが、銀材料は高コストかつイオンマイグレーション耐性の問題があることから、銅材料による接合材への期待が寄せられている。

大陽日酸では、酸素燃焼による金属ナノ粒子製造技術を独自開発。同技術による銅ナノ粒子は、粒子径100nm程度で、表層が亜酸化銅で被膜された粒子であるため、従来のウェットプロセスで製造されたものと異なり有機保護膜がなく、焼結時のアウトガスが少量で、かつ低温焼結が可能である。同社はこの銅ナノ粒子を用いることで、従来の銅系焼結型接合材では困難だった200℃の接合温度における高強度の接合が可能な接合ペーストを開発した。同ペーストは接合温度200℃、接合圧力10MPa、接合時間5分の条件において、せん断強度80MPa以上の接合が可能であることを確認済みだという。

同社は同ペーストについて、今後、顧客へのサンプル提供を経て、本格的な事業化を検討するとしている。

出典:大陽日酸 ニュースリリース