三菱電機は11月13日、オランダの半導体メーカー、Nexperiaとパワーエレクトロニクス市場向けSiCパワー半導体の共同開発に向けた戦略的パートナーシップに合意したと発表した。三菱電機は同社の強みである化合物半導体技術などを利用したSiC金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)をNexperiaへ開発・供給し、Nexperiaは三菱電機のSiCチップを搭載したSiCディスクリート製品を開発・供給する。

三菱電機は家電、産業機器、鉄道車両などに向けたSiCパワーモジュールを開発・製造しており、そこに求められる高品質のSiCチップ技術にも強みを持つ。その技術を適用したSiCチップをNexperiaに供給する。

Nexperiaは中国の電子機器大手、聞泰科技(ウィングテック)の子会社で、ディスクリート半導体の開発、製造、品質保証において数十年にわたる経験があり、自動車、産業用からモバイル、民生用途まで幅広く供給している。同社は2021年よりSiCパワー半導体市場に参入し、ピーク繰り返し逆電圧が650VのSiCショットキー・バリアー・ダイオードなどを手掛けている。

三菱電機の半導体・デバイス事業本部長の竹見政義氏は、「Nexperiaは、高品質のディスクリート半導体において実績ある先端技術を有する業界のリーディングカンパニーだ」とし、今回のパートナーシップに大きな期待を寄せた。また、Nexperiaのシニア・バイスプレジデントのRoeloffzen氏は、「Nexperiaのディスクリート半導体に関する実績ある専門技術と組み合わせることで、両社の強みによる相乗効果が生まれ、顧客に大きなメリットをもたらす」と述べた。

製品の販売時期や売上高といった目標は開示していないが、なるべく早期の上市をめざし、三菱電機は早ければ年内にもチップの供給を開始する見込みである。