GNC letter
GNCレター
先端半導体の国産化を目指すRapidusは2025年3月25日、シンガポールを拠点に半導体の設計支援や人材派遣を手掛けるQuest Globalと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。これによりRapidusはQuest Globalのファウンドリパートナーとなり、Quest Globalの顧客はRapidusの2nm GAA(Gate All Around)製造プロセスを利用して半導体の設計・開発ができるようになる。また、Rapidusは協業を通じて米IT大手やファブレス半導体メーカー、AI(人工知能)半導体を手掛けるスタートアップなど、顧客開拓を目指す。
Quest Globalは半導体の設計開発支援を中核にするエンジニアリング企業。現在20か国以上で事業を展開し、85以上のグローバルデリバリーセンターを擁する。また、世界に2万1,000人以上の技術者を有し、このうち日本の顧客をサポートする技術者は2,300人以上に達する。同社の主要顧客には米Microsoftや米Amazon Web Services、米NVIDIAなど、AIを手掛ける米テック大手が名を連ねる。
Rapidus はウエハ上に回路を作りこむ前工程とウエハから切り分けたチップを組み合わせてパッケージングする後工程、半導体の回路設計に関するソリューションを相互に連携させる「RUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)」というモデルを構築し、顧客の需要に応じた先端半導体チップを最速で製造することを目指している。同社はRUMSモデルのエコシステムの中でも設計を担うデザインハウスが重要であるとし、設計に強みがあり、顧客のニーズに合わせた設計を行うQuest Globalとのパートナーシップ締結を決めた。
協業によりRapidusは顧客のニーズに合わせた少量多品種かつ短TAT(Turn Around Time)の製造を確立するとともに、Quest Globalの持つネットワークを利用し、米テック大手からの受注獲得を狙う。また、RUMSモデルは、新たな設計を安く早く試したいと考えるスタートアップの要望とも合致しやすいため、RapidusとQuest Globalの共通の顧客になりうるAIスタートアップからの受注獲得も目指す。」
Rapidusの小池淳義社長は「RapidusはQuest Globalのファウンドリパートナーの1社となることで、同社が持つ顧客ネットワークへのアクセスが可能になる。当社にとって、顧客へのアクセスと設計実績の確保は重要であり、今回の提携は両社にとってまさにWin-Winの関係となるだろう」と期待を示した。
一方、Quest Globalのアジッド・プラブCEOは、「今回のパートナーシップはVirtual IDMモデルとして、世界中のAI企業が求めるシリコン・ソリューションを提供することだろう」と協業の意義を強調した。
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