先端半導体の国産化を目指すRapidusに対し、株主のトヨタ自動車とデンソーが追加出資を検討していることが10月17日、明らかになった。これにより、既存株主8社すべてが追加出資する意向を示したことになり、当面の目標であった総額1,000億円規模の資金調達に一定の目処が立った模様である。

自動車分野では、自動運転やソフトウェア定義車両「SDV」向けに先端半導体の重要性が高まっている。トヨタやデンソーは台湾・TSMCが熊本県に建設する工場にも出資を表明しており、半導体調達網の拡大を進めている。

トヨタ広報担当の土門翔平氏は、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の時代において半導体の性能向上や確保が一層重要になる中で、「次世代半導体の生産基盤を日本に作るというRapidusの設立趣旨に賛同している」とし、「追加出資に向けて検討を進めていく」と述べた。一方のデンソーの広報担当者も追加出資に向けて検討を進めていく方針であると述べた。

今回調達する資金は当面の運転資金や、2025年4月の試作ライン稼働後に必要な設備投資に充てる。両社の出資額は現時点で未定で、来年以降に正式に決まる見通しである。

Rapidusは2027年の量産開始までに、技術開発や設備投資に5兆円規模の資金が必要とされる。政府は工場の建設費などに最大9,200億円を支援する方針であるが、ここに民間投資の1,000億円を加えても、残りの4兆円の調達が課題となる。政府は6月に閣議決定した「骨太の方針」で今後の半導体支援について「複数年度にわたり、大規模かつ計画的に」と明記。この方針を踏まえて政府機関による出融資や、Rapidusに対する金融機関の融資に債務保証をつける法案の早期提出を目指す。