政府が次世代半導体の量産を目指すRapidusに対し、2025年度に新たに2,000億円を出資する方針を固めたことが11月20日、わかった。これまでに研究開発などで合計9,200億円の補助金を決めていたが、出資により経営への関与や監督を強める。また、2027年の量産開始に向け、民間による出資や融資の呼び水にする狙いもある。

政府は出資による支援について、近くまとめる経済対策に方針を盛り込む。出資の他、政府系機関を通じた債務保証も可能とする方針で、2025年の通常国会で関連法案の提出を目指す。政府による出資は初となる。政府は同社の事業計画を審査しており、株主になることで企業統治の透明性を高められるようになる。また、経営改善の見通しが立たない場合、支援を打ち切ることも検討する。

計画案では、量産段階の2027年10月を目途に、政府支援で建設した工場などの設備を同社株と交換する「現物出資」を実施するとも示した。同社の事業は現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じた研究開発の委託事業の扱いであり、事業主体がNEDOであるため、同社が設備を量産に使用するには国から資産を買い取る必要がある。資産価値は6,000億円相当と見積もる。国による関与を強めることで民間による融資及び出資を早期に呼び込む。

同社には現在までに、トヨタ自動車やソフトバンクなど7社が10億円ずつ、三菱UFJ銀行が3億円の計73億円を出資。ソフトバンクなどは追加出資の意向を示している。富士通も株主ではないが出資する方針である。また、三井住友銀行とみずほ銀行、三菱UFJ銀行のメガバンク3行と日本政策投資銀行も最大計250億円を出資する方針となっている。一方でRapidusによる次世代半導体の量産開始には、技術開発や設備投資に5兆円規模の資金が必要とされており、現状では4兆円程度不足しており、民間からの更なる資金調達を急いでいる。