8月30日、Intelが経営立て直しを図るため、同社の長年の取引銀行であるモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスと今後の経営方針に関して協議をしていることが伝えられた。そこでは設備投資の見直しに加え、事業売却に関してもアドバイスを受けたものとみられ、Intelが同社の地位を回復させる鍵として力を入れるファウンドリ部門の売却の可能性が浮上した。

台TSMCや米AMDの台頭により苦戦を強いられているIntelでは、同社のパット・ゲルシンガーCEOが2021年に就任して以降、新戦略「IDM2.0」を掲げ、再浮上を目指していた。特に力を入れていたのがファウンドリ事業で、同社はファウンドリ事業を将来的には世界最大手のTSMCと競争できる水準にまで成長させる目標を掲げていた。

ところが2023年現在、ファウンドリ部門の業績は低迷しており、2023年通期では約70億ドル(約1兆710億円)の赤字を計上した。製造プロセスの微細化で競合他社に遅れをとっており、外部顧客を確保できていないことが大きく響いている。同社は製造プロセス微細化の巻き返し、他社に先駆けて導入する高NA(開口数)EUV(極端紫外線)露光の参入障壁の高さ、外部顧客からの受託拡大に伴うスケールメリット、1つの技術世代を長期間利用することによるコスト効率向上などにより、2027年には黒字化を想定しているが、2024年期も赤字はさらに拡大するものと見られており、先行きは不透明である。

加えて、同社のファウンドリ部門が米Broadcomから受注し、18Aプロセスでシリコンウエハに回路を形成したが、Broadcom側の検査基準を満たせなかったという話も伝えられており、その品質も疑問視されている。

現状の経営立て直し計画ではプログラマブル半導体部門であるAlteraの売却、独工場の建設中止などが優先され、ファウンドリ部門の売却可能性は低いとされている。しかし、ファウンドリ事業は現状不採算事業となっているため、方針転換により手放すということもあり得るだろう。

Intelは9月半ばの取締役会で今後の計画を提示する見通しである。