産業総合研究所(産総研)と米Intelが最先端半導体の製造装置と素材の研究開発(R&D)拠点を国内に設ける方針であることが9月3日、分かった。極端紫外線(EUV)向けの技術開発に焦点を当てた施設になる見込みで、IntelがEUVを使った半導体の製造ノウハウを提供する。投資額は数百億円とみられる。

新拠点は3~5年後を目途に設立される見込みで、日本の研究機関として初めてEUV露光装置を導入する。企業は利用料を支払うことで、EUVを使って試作や試験を行うことが出来る。国内の装置・素材メーカーはこれまで、ベルギーのimecなど海外の施設で研究データを収集していたが、米中対立が激しくなる中で、EUV露光装置に加え、EUVに関連する装置や素材も審査対象となっており、海外で得た研究データを日本に移転する手続きには時間がかかる。国内でEUV露光装置を使用できる環境を整えることにより、研究成果の活用のハードルが下がり、製造装置や素材の開発の促進が期待できる。

加えて、新拠点ではIntelがオレゴンに持つEUV研究拠点とも連携を図り、技術協力や人材交流も検討されている。拠点同士の連携を通じ、国内の高度な半導体人材の育成に寄与することが出来る。また、Intel側にとっては、国内メーカー各社との協業関係を強化できるというメリットもある。

新拠点の受け口となる産総研傘下のAIST Solutionsの代表取締役社長である逢坂清治氏は「半導体は日本が世界に貢献できる重要な産業」だとし、EUV露光装置の利用環境を国内メーカーに提供することで、材料ならびに製造装置産業の下支えを含め、半導体産業の発展に寄与していくことを目指すとした。

新拠点の設置場所は未確定で、今後詰めていく。