米Intel社は2021年8月18日、Intel Architecture Day 2021において新しいCPUコアアーキテクチャを発表した。今回発表したのは、クライアント向け次世代SoC「Alder Lake」(開発コードネーム)、ゲーミング向けGPU「Intel Arc」(2022年投入予定)の2つである。


Alder LakeのCPUは高効率と高性能の2種類のCPUコアを搭載し、アプリケーション毎に切り替えることで、高性能と低消費電力の両方を実現可能となっている。電力効率が高い「高効率コア(Efficient Core)」が「Gracemont」、パフォーマンス優先の「高性能コア(performance-Core)」が「Golden Cove」と呼ばれる。
Gracemontは、2015年発表の「Skylake」コアと比較すると、同じ消費電力で40%高いシングルスレッド性能を実現するという。高効率に命令をデコードすることで、より並列性を高めた実行エンジンで実行できるようにしている。これにより、プロセサにかかる電圧をできるだけ下げることで実行時の消費電力をより少なくできるようにしている。

高性能コアとなる「Golden Cove」は、2019年にIntelが発売したIce Lakeベースの第10世代Coreに採用されたSunny Coveの流れを組む、「Cove系」と通称されるCPUコアデザインとなる。2020年にIntelが投入したTiger Lakeベースの第11世代Coreでは「Willow Cove」へと進化し、今回それが第3世代の「Golden Cove」へと進化した形になる。
高性能コアであるGolden Coveの設計は、デコーダ、キャッシュ関連の強化を行っている。デコーダ関連では、データ長を16Bから32Bに拡張、デコーダの数も4から6に増加している。キャッシュ関連では、L1キャッシュでデータロードユニットを2から3ポートに拡張し、3×256bit、2×512bitのロードを可能にしている。L2キャッシュではサーバーバージョンが用意されている。
このほか新しいAMX(Advanced Matrix Extensions)に対応した拡張命令セットと、それに伴ってAMXの演算器が追加されている。AMXはAIをより効率よく実行するための命令セットである。またOut-Of-Orderエンジンも大幅に強化している。

このような改良により、Golden Coveを採用したAlder LakeのデスクトップPC版は、第11世代CoreのデスクトップPC版(Rocket Lake)と比較して、同じ周波数であれば19%の性能向上が実現できるという。
Intel Arkは、同社が開発した「Xe HPGマイクロアーキテクチャ」を採用している。第1世代製品「Alchemist(開発コード名:DG2)」では、ハードウェアベースでのレイトレーシング機能とAIによるスーパーサンプリング機能を実装する。さらにDirectX 12 Ultimateもフルサポートする。Intel ARCブランドの製品は、2022年第1四半期から順次投入される予定。
将来世代以降の開発コード名は「Battlemage」「Celestial」「Druid」となることも発表されている。