半導体米最大手の米Intel社は2022年2月17日に開催した「2022 Investor Meeting」で2022年の業績見通しと2023年以降の成長戦略を発表した。
2022年に関しては売上高は760億米ドル、粗利益率(nonGAAP)は52%、設備投資額は270億米ドルを予想している。
2023、2024年は次の成長に向けての投資期に入るとしている。各年の成長率は一桁台中盤から後半にとどまるが、粗利益率は51〜53%を維持すると見込んでいる。設備投資額は売上高比で最大35%、2022年と同水準を計画している。
2025、2026年からは長期的成長のモデルを目指す。売上高の前年比成長率は10〜12%に、粗利益率も54〜58%まで高める計画である。設備投資額は売上高の25%程度に抑える。
設備投資に関しては、投資効率の向上を目指す「スマート・キャピタル戦略」を進める。同戦略では、米国やEUといった政府からの補助金などの支援、カスタマからの資金導入、パートナーとの協業をすすめることで、自社独自の投資負担を抑えながら設備の強化を進めていこうというものである。さらに同社は米国の資産管理会社「Brookfield Asset Management」と提携し、新工場建設のための資金面、財政面のオプションを増やしている。
また、設備に関しても先に積極的に建屋を建設し、市況を見ながら設備導入を行っていくことで、柔軟で、素早い能力増強を可能にしていくとしている。さらに外部ファンドリの活用も進めていく。
クライアントPC、データセンタ、ネットワーク、先端コンピューティングといった既存の主力分野に加えて、グラフィクス、モバイル、ファンドリ、自動車などの分野で強化を進める。グラフィクス分野では、2022年のCESで、新GPU「Intel Arc Graphics」を発表している。今後も製品開発を進め、2026年にはGPU事業で100億米ドルを目指す。ファンドリ事業では2021年10月にIFS(Intel Foundry Service)という独立した事業として進めていくことを発表した。また、IFS事業の強化を目指して、イスラエルTower Semiconductor社を買収している。そして、市場が急速に拡大している自動車向け製品の製造を積極的に取り込んでいくとしている、
自動車分野では2022年半ばを目途にMobileye社の株式を公開する計画である。ただ、公開後も同社が半数以上の株式を保有する意向である。

現在、インテルはこれまで成功を収めて来たIDM(垂直統合型)が過渡期を迎えており、昨年ゲルシンガーCEOが就任したものの、7nmプロセス開発の長期化や、半導体好況の中、低い成長率により世界半導体メーカー首位から陥落するなど、ファブレスやファウンドリのライバルと比較すると株価は低迷している。一方で、傘下のMobileyeは車載半導体における価格・性能で充分な競争力を保持しており、これに加え積極的な設備投資、買収によりファウンドリサービスの積極的な展開、TSMCなどの外部ファウンドリの活用による自社製品の性能向上により、今後の大きな成長を目指す。