米Intel社のゲルシンガー CEOは現地時間 2021年7月26日に、Webキャスト「Intel Accelerated」で今後のプロセス・ロードマップと各プロセスの定義、新しいパッケージ技術について発表した。また、ファンドリ事業に関して、スマートフォン用プロセッサの米Qualcomm社、クラウド大手の米Amazon Web Service(AWS)社から生産を受託したことを発表した。
プロセスの世代(ノード)の命名法と定義についても変更することになり、変更したプロセスのロードマップを図に示した。2021年後半に製品化が予定されている第12世代プロセッサであるAlder Lakeから、プロセスの世代を示す呼び名を、従来のnmによるものから、「Intel 7」、「Intel 4」といった表現に変更する。同社では新名称を「プロセスノードのより正確な見方とそれに対するIntelの適応状況を示す」ものとしている。


2021年後半から量産をはじめる「Intel 7」は、nmノードでは第3世代の10nmテクノロジで、現在の「10nm SuperFin」の後継になる。前世代と比較してワット当たりの性能が約10〜15%向上し、電力効率とバッテリ寿命も上昇する。クライアント向けは2021年末に、データセンタ向けは22年に製品、市場投入する予定。
「Intel 4」は7nmプロセスに相当するもの。Intelとしては初めてEUVリソグラフィをフルに採用する。FinFETトランジスタアーキテクチャを採用する。ワット当たりの性能は約20%向上する。2022年後半には量産準備を終え2023年には量産製造を開始する見通し。これにより、1mm²当たり約2億から2億5000万のトランジスタ密度を持つクライアント向け製品Meteor Lake、データセンタ向けではGranite Rapidsの量産に応用する予定。
「Intel 3」は第2世代の7nmに相当し、これもFinFET構造である。「Intel 4」よりワット当たりの性能は約18%向上する。2023年後半までに量産展開を可能にする計画である。
「Intel 3」の次にくるのが「Intel 20A」であり、Aはオングストロームを意味しており、以降のプロセスではオングストローム(0.1nm以下)レベルの加工精度が必要となってくることを意味している。微細化だけでなく、トランジスタ構造もFinFET構造から、Gate All Around(GAA)構造の「RibbonFET」へと大きく変化することから、プロセス名も仕切り直しをすることになる。また、ウエハ裏面からの電力供給を行うことで、配線ラインと電源ラインを分離することを可能にする新しい電力供給技術「PowerVia」も採用する。 その次の「Intel 18A」は2025年初めには開発に入る予定である。リソグラフィ装置世界最大手のASMLと密接なパートナーシップを構築し、次世代高NA EUVリソグラフィシステムの最初の製品を導入できるようにする計画である。
パッケージ技術では、2.5D構造の「EMIB(Embedded Multi-die Interconnect)」と3D構造の「Foveros」の進化を深めていく。
EMIBではバンプ間ピッチを55μmから45μm、40μmと狭ピッチ化を進めていく。さらに「Intel 4」が適用されるMetor Lake製品ではEMIBとFoverosを組み合わせてバンプピッチを36μmまで狭める予定である。
Foverosでは、「Foveros Omni」、「Foveros Direct」と開発を進める。「Foveros Omni」は上部のチップからTSVを通じて接続する。「Foveros Direct」チップ間の接続をはんだバンプでなく、銅電極同士を直接接続する。これにより、より高速なデータ伝送が実現できることになる。