日本ガイシは2025年11月14日、AIや自動運転などの先端分野で注目されるチップレット集積に対応するため、半導体の製造過程で使われるセラミックス部材「ハイセラムキャリア」の生産能力を3倍に増強すると発表した。2026年春から国内工場で設備の拡張・導入を進め、2030年度までに年200億円の売上高を目指す。

「ハイセラムキャリア」はチップレット集積の際、半導体チップを一時的に固定するためのサポートウエハ。製造中の安定性を確保するために使用されるもので、チップレット工程に欠かせない、重要な部材として注目されている。同社が製造する「ハイセラムキャリア」は従来のガラス製サポートウエハに比べ5倍曲がりにくい特性を持っており、課題となっていた製造時の反りや破損を大幅に低減できる。これにより、顧客の製造工程の安定性が向上し、製品ロスの削減・品質向上に貢献するとしている。

今回の設備投資では、同製品を製造する愛知県小牧市の工場で2026年3月に既存の製造エリアを拡張するほか、4月には山口県美祢市の子会社工場で新たに生産設備を導入する。これにより、2027年度までに同製品の生産能力を現在の約3倍に増強する。今回の設備投資における投資額は不明だが、2019年頃から続けている同製品の研究開発・設備投資の累計額は200億円となる見通しである。

なお、現在は丸形キャリアのみを製造しているが、今後は四角形の製品の開発も目指すという。キャリアもパッケージと同じ四角形に揃えることで余白をなくし、生産効率を高められるとのことである。

出典:日本ガイシ ニュース