露光装置装置世界最大手の、蘭ASMLは9月9日、仏のAIスタートアップ、Mistral AIと戦略的パートナーシップを結び、同社に対し13億ユーロを出資すると発表した。これにより、ASMLはMistral AIの株式の11%を保有し、筆頭株主となる。

Mistral AIは米Deepmind出身の研究者らによって2023年に仏パリで創設された。大規模言語モデル(LLM)の開発において、米OpenAIなどと競合できる唯一の起業とされており、その可能性への期待から、米Microsoftや米NVIDIAなども出資をしている。

ASMLはMistral AIとの提携を通して、ASMLの製品ポートフォリオ全体および研究開発/運用分野におけるAIモデルの活用を推進し、同社の顧客に対して市場投入期間の短縮と高性能な総合リソグラフィシステムの提供の実現を目指す。

ASMLの社長兼CEOであるChristophe Fouquet氏は、今回の協業について、「AIによって実現される革新的な製品とソリューションを通じてASML顧客に明確な利益をもたらすことを目指したものだ」とし、「従来のベンダーとクライアントの関係を超えたMistral AIとの戦略的提携こそが、この重要な機会を捉える最善の方法であると確信している」と述べた。

Mistral AIの共同創業者兼CEOであるArthur Mensch氏は、「今回の提携は当社のAI市場における提案力、地位、価値を強化すると確信している」とし、「両社は協力し、世界の半導体/AIバリューチェーン全体で技術進歩を加速させる」と自信を示した。

なお、ASMLはこれまでにAI企業を支援した実績はなく、スタートアップへの投資も珍しいものとなっている。ここには、米シリコンバレーのツールへの依存からの脱却を目指す欧州連合(EU)の働きかけもあったものとみられ、今回の協業により、欧州全体のAI競争力強化も目指していく。