オランダの半導体製造装置大手、ASMLは1月24日、2023年第4四半期(10~12月)の決算を発表した。これによると、売上高は72億ユーロで前期比8.5%増、前年同期比13%増、純利益は20億ユーロで前期比8.2%増、前年同期比13%増となり、いずれも予想を上回った。

また、受注額は90億ユーロを超え、前期から3倍増となり、過去最高を記録した。受注額のうち56億ユーロが極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置であった。今回の発表で同社は、「高NA(開口数)EUV露光装置『EXE:5000』の最初のモジュールを2023年末までに顧客に出荷した」と正式に言及しており、最先端装置の需要が急増したためとみられる。これに加え、輸出規制の対象となる深紫外線(DUV)露光装置の中国からの駆け込み需要も影響をもたらしたとみられる。

なお、通期売上高は前年比30%増の276億ユーロ、純利益は前年比39%増の78億ユーロとなり、半導体産業が低迷する中、トータルでも伸びを見せた。

一方、2024年第1四半期の売上高見通しは50億~55億ユーロとし、24年の売上高伸び率は横ばいとの見通しを示した。人工知能(AI)向け半導体の需要好調にもかかわらず、展望については中国へのArF液浸露光装置の輸出規制が強化される事も踏まえ、慎重である。

同社のロジャー・ダッセン最高財務責任者(CFO)は、同社の装置稼働率は向上しており、最終顧客の在庫は減少しているとし、「これは健全な兆候であり、実際、受注は力強い」と述べた。また、ピーター・ウェニンク最高経営責任者(CEO)は、「当社の顧客は2024年の半導体市場回復の形について確信を持っていないが、いくつかの明るい兆しもある」とし、「2023年第4四半期の好調な受注は、将来の需要を明らかに裏付けている」と述べており、今後の市場回復に対して期待を寄せた。