ベルギーの半導体研究開発機関、imecが日本法人を設立したことが8月27日に明らかになった。同機関は2022年に最先端半導体の国産化を目指すRapidusと技術者の派遣や育成で協力することで合意しており、更なる連携の強化を図る。また、Rapidus以外でも、自動車をはじめ幅広い領域で協業パートナーを探す。

同機関は1984年にベルギーで設立された非営利の研究機関で世界各国から研究者が集う。特に半導体回路の微細化に不可欠なEUV(極端紫外線)露光技術に強みを持ち、蘭の半導体製造装置大手、ASMLと過去30年以上にわたって露光装置の実用化に関する共同研究を行ってきた。

日本法人の名称は「imec JAPAN」。8月6日に法人を設立し、本店を東京都千代田区に置いた。RapidusがEUVリソグラフィ技術を活用してスムーズに量産適用できるように支援していく。また、Rapidusが北海道千歳市に建設する新工場の完成後、技術者や研究者を派遣するとしており、工場付近に拠点を設けることも検討している。

なお、北海道に設ける拠点とは別に、日本国内に研究施設を設置する計画もある。この研究施設では、AIの応用や自動車分野の半導体、医療・ヘルスケアを中心としたライフサイエンスへの半導体技術の応用といった先端分野での半導体の活用拡大に向け、幅広い企業・研究機関との協業を見据える。

研究施設に関して、imecのCEOであるLuc Van den hove氏は2023年11月に、「東京には素晴らしい大学や研究機関が集中しているし、大阪大学とは共同研究契約を締結(2011年)し、同大 産業科学研究所内にすでにimecのオフィスを設置済みである。imecが日本に研究所を設置するにしても、その候補地としては、協業パートナーが多いそうした東京や大阪などが候補になるだろう」とした一方、「最終的にどこに設置するか決定するのは時期尚早だ」と述べている。現状、研究施設の立地に関する発表はなく、現在も検討中とみられる。