半導体製造装置大手、蘭ASMLは2025年3月11日、ベルギーの半導体研究開発機関、imecと新たな戦略的パートナーシップを締結したと発表した。期間は5年間で、半導体技術の進歩と持続可能なイノベーションを目指す。

このパートナーシップはASMLの全製品ポートフォリオが組み込まれており、ハイエンドノードの開発に焦点を当てている。具体的には、0.55 NA EUV(高 NA EUV)、0.33 NA EUV(低 NA EUV)、DUVイマージョン、YieldStar光学計測、HMIシングル・マルチビーム技術といったシステムが使用可能で、これらはimecが現在建設している最先端パイロットライン(imec Fab4)に設置され、EU及びフランダース地方政府が出資するNanolCパイロットラインに組み込まれる。

特に、2nm以下の研究開発(R&D)に不可欠である高NA EUV装置が使用可能となるのが注目である。高 NA EUVシステムはコストが3億5,000万ドル(約500億円)にも上るため、新規参入者や研究者が個別に入手することは事実上不可能であった。これがimecのパイロットラインに導入されることにより、半導体関連の各企業から集まったimecの研究者が自前の施設で直接高NA EUV装置が初めて使用できるようになるため、技術革新の更なる加速が期待される。

また、今回のパートナーシップにおける研究開発の焦点となる分野には、先端プロセスに加え、シリコンフォトニクス、メモリ、先端パッケージングも含まれており、将来的なAIアプリケーション開発に向けたフルスタックイノベーションが提供される。

ASMLの社長兼CEOであるChristophe Fouquet氏は今回のパートナーシップについて、「半導体産業のための解決策を開発するという我々の共同目標を示し、社会全体に利益をもたらす技術とイノベーションへの投資という我々の戦略に合致している」と述べた。

また、imecの社長兼CEOであるLuc Van den hove氏は「ASMLの製品ポートフォリオ全体を含めることで、パイロットラインの能力を拡張しさらに成熟させ、AI駆動の技術的進歩の課題に取り組むための最先端のR&Dを半導体エコシステム全体に提供できるようになる」と、今回のパートナーシップの意義を強調した。