半導体受託生産世界最大手、台湾・TSMCは7月18日、2024年6月の売上及び第2四半期(4~6月)の決算を発表した。2024年6月の売上高は前月比9.5%減、前年同期比32.9%増となる2,078億6,900万台湾ドルとなった。5月よりは緩やかではあるものの、確実な成長を見せている。

また、第2四半期の売上高は前期比13.6%増、前年同期比40.1%増となる6,735億1,000万台湾ドル、純利益は前期比9.9%増、前年同期比36.3%増の2,478億4,500万台湾ドルとなり、同期の売上高・純利益としてはともに過去最高となった。

人工知能(AI)の需要拡大が同社の業績を大幅に押し上げている。同社の第2四半期のアプリケーション別の売上高比率を見ると、HPC向けの割合が52%と、初めて5割を超えた。一方で、これまで同社の業績を牽引してきたスマートフォン向けは全体の3分の1となる33%まで割合が減少した。同社は米NVIDIAと米Advanced Micro Divices(AMD)のAIトレーニングチップ、米Qualcommの「Copilot+ PC」向けAI搭載ラップトッププロセッサなどを独占的に製造しており、現在はこれらの需要が同社業績を支えている。

同四半期のプロセス別の売上高割合では、3nmが15%、5nmが35%、7nmが17%で、同社の定義する先端プロセス(7nm以下)で全体の67%を占める。AI開発にはこうした先端プロセスが不可欠であり、ここからもAI需要が如何に同社の業績を牽引しているかがわかる。

また、第3四半期の見通しとしては、売上高を224億ドル~232億ドル(1ドル=32.5台湾ドル)と、引き続き好調が継続すると予測。2024年通期の売上高見通しについても、これまでの前年比20%台前半~半ばの増収から、20%半ばをやや上回る増収へと、予測を若干上方修正した。

同社の上級副社長兼最高財務責任者(CFO)のウェンデル・ファン氏は第2四半期の業績について、「3nmおよび5nm技術に対する強い需要に支えられたが、スマホの季節性低迷で部分的に相殺されたところがある」と説明した。一方で、第3四半期の見通しについて、「最先端プロセス技術に対するスマホとAI関連の強い需要が事業を支えると予想している」と述べた。秋に発売されるとみられている米AppleのiPhoneの新型モデルにより、スマートフォンの売上も伸びるものとみている。