東京エレクトロンは7月8日、新型の枚葉式成膜装置とEUV露光工程向けガスクラスタービーム装置を発表した。製品ラインナップを大きく拡充し、多様化する顧客のニーズに対応する。

新型の枚葉式成膜装置としては、「Episode1」、「Episode2 DMR」、「Episode2 QMR」の3種類を発表。「Episode1」は最大8プロセスモジュールの搭載が可能なプラットフォームである。微細化に伴い要求される複数プロセスの連続処理が可能で、シリコンの自然酸化膜を除去するモジュール「OPTCURE」とチタンを成膜するモジュール「ORTAS」に対応し、先端ロジックデバイスの金属配線の接触抵抗低減を実現するとともに、今後、さらなる接触抵抗の低減に向けた新材料の成膜プロセスの開発を加速させるとしている。

「Episode2」はウエハを2枚同時に搬送するプラットフォームで、高生産性と省フットプリントを両立している。2種類のコンセプトのうち、「DMR」は2枚のウエハを同時に成膜するモジュールで、「Triase+ EX-IIシリーズ」を踏襲しつつ、デバイスのさらなる3次元化と高アスペクト比に対応するさまざまな新機能を搭載している。また、「QMR」は4枚のウエハを同時に成膜するモジュールで、プラズマ成膜プロセスに対応する独自のプラズマ源を搭載しているという。「QMR」については2026年の量産採用を想定する。

一方、ガスクラスタービーム装置「Acrevia」はEUV露光による極微細なパターニング工程において、ガスクラスタービーム(GCB)により線幅の加工と形状の補正をおこなう装置。GCBは、ガス分子を結合しクラスター化することで、高いエネルギーをもちながら表面のダメージを抑えて処理する技術であるが、同装置は独自のGCB技術により、従来では実現出来なかった低ダメージ加工を実現し、デバイスの微細化と歩留まり向上、EUVパターニング工程のコスト低減に貢献するとしている。EUV露光とその後に続くエッチング処理後のパターンに対し、任意の角度から直進性をもったビームを照射することで極微細な線幅加工と形状補正を行うほか、独自のソフトウエア技術「LSP(Location Specific Processing)」によりウエハ面内に対しビームを照射する点をスキャンする機構を備えたことで任意の加工制御を可能にした。加えて、パターン側壁の荒れ(LER:Line Edge Roughness)を改善でき、歩留まり低下の原因となる露光工程の最適化・欠陥の低減も可能となる。

微細化と生産性の向上は先端半導体製造の大きな課題である。同社は「今後も、お客さまの期待を超える技術開発を進め、デバイスの進化に貢献していく」としている。

出典:東京エレクトロン ニュースルーム