信越化学工業は6月14日、半導体パッケージ基板向け製造装置と新工法を開発したと発表した。チップレット同士の接続に使うインターポーザー(中間基板)の機能をパッケージ基板に組み込むことができ、パッケージ基板上で直接チップレット間の接続が可能となる。

同社が開発したのは高性能のエキシマレーザ加工装置。前工程で用いられるデュアルダマシン工法を後工程用パッケージ基板製造に応用した「信越デュアルダマシン法」と呼ばれる工法により、インターポーザと同様の機能を有した配線パターンを直接パッケージ基板に加工・形成することにより、チップレット間の接続をパッケージ基板上で行う。これにより、従来必要だったチップレット同士の接続工程が不要となるほか、フォトレジスト工程も不要にできるため、コスト削減に貢献する。

同装置の高度な微細加工の技術により、直接多層パッケージ基板の各層に複雑な電気回路パターンを有機絶縁層の中に掘り込み、銅メッキで回路を形成できる。また、エキシマレーザを光源とし、自社製の大型フォトマスクブランクスや特殊レンズを使用することで大面積の回路パターンを一括で形成できる。これにより、従来のフォトレジストを使うSAP(セミアディティブプロセス)法では達成できなかった微細加工が可能となる。加工にかかる時間はパッケージ基板の大きさに依存するが、一例として2µm溝幅で深さ5µmのトレンチと、直径10µmで深さ5µmの電極パッドを515mm x 510mmの有機基板上に加工するのに必要な時間は約20分であるという。

信越化学工業が提供するインターポーザを使わないチップ接続方法(出所 信越化学)

同装置はデータセンター向けなどの半導体の普及に備え、2028年にも量産を開始する見込み。半導体パッケージを手掛ける企業に同装置を提案し、年間200億~300億円の売り上げを目指す。

出典:信越化学工業 ニュースリリース