トヨタ自動車やホンダ、ルネサスエレクトロニクスなどが出資し、先端車載半導体の開発を目指す自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA)は3月29日、同組合の推進する「次世代車向けチップレットに関する研究開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「先端半導体製造技術の開発」の委託先に採択されたと発表した。これにより、同組合は10億円の補助を受ける。

また、同日、同組合に新たにスズキと部品メーカーの日立アステモが新たに参画することも発表した。2社の加入は既存の参画企業が推薦した。欧米の半導体メーカーが先行する車載半導体分野において、国内の自動車関連企業が結束して、先端技術を国産化することを目指していく。

チップレットは半導体チップを小分けにし、1パッケージに接続する技術で、歩留まりが改善され、コストダウン、小型化が可能になる。現在、データセンターなど民生半導体などで実績があるが、同技術の車載への応用には車載固有の安全・信頼性を確保するため、機能安全対応や熱・ノイズ・振動への対応、リアルタイム処理などの課題を解決する必要がある。同組合はこの課題に対応する技術を共同開発し、参画する自動車メーカー各社はこの技術を土台にした先端SoCチップレットを各社のニーズに合わせて、2030年以降に適用することを目指す。

同組合の山本圭司理事長(トヨタ自動車シニアフェロー)は「車にSoCのニーズが広がってきている」としつつも、海外メーカーへの外注では納期やスペックがニーズを満たせないことがあるため、「国内の先端半導体の1つとしてSoCを(国内企業で)協力してやるということになった」と述べた。

山本氏によれば、製造にあたって、最初の試作品は海外のファウンドリに委託する予定。但し、Rapidusがチップレットの製造を行う予定であるため、同社との連携が見込まれる。なお、チップレットの後工程の生産基盤を持っている企業が現状国内に存在しないため、「経済産業省とも議論し、半導体の前工程に加えて後工程はやはり国内に整えるべきだという話がある」とした。

出典:ASRA ニュースリリース