富士フイルムは4月30日、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料「ナノインプリントレジスト」を5月下旬より、同社子会社で電子材料を手がける富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを通して販売すると発表した。

「ナノインプリントリソグラフィ」は、回路パターンが形成されたマスクをレジストが塗布されたウエハ上にハンコのように押し当て、回路パターンを転写、形成する技術。従来のフォトリソグラフィとは異なり、露光に使用する光学系が不要となり、現像工程など製造プロセス自体も簡素化できるため、低コスト・省電力での製造が可能となる。同技術を搭載した製造装置はキヤノンが世界で初めて実用化し、2023年10月から販売している。

富士フイルムが開発した「ナノインプリントレジスト」は製造工程におけるレジストの流動挙動や、レジストとウエハ表面・マスクそれぞれとの相互作用を詳細に解析し、「ナノインプリントリソグラフィ」に最適な分子構造のレジストを新たに設計したもの。マスクに刻み込まれた複雑な回路パターンに均一に素早く充填でき、ナノメートルレベルの回路パターンを忠実に短時間で転写・形成可能となる。また、UV照射で硬化させた後、マスクを高速で剥がしても転写された回路パターンに欠損を生じさせない優れた離型性も発揮する。これにより、高いスループットと歩留まりを可能にした。

さらに、産業用インクジェットプリンターの開発で培った技術を生かし、ウエハ表面に最適な液滴量をインクジェット方式で塗布できる設計となっており、従来のスピンコート法と比較してレジスト使用量を100分の1に削減できる。また、環境・生態系への影響から使用規制の進む有機フッ素化合物「PFAS」も含んでいない。

現状、「ナノインプリントリソグラフィ」を搭載した製造装置を販売しているのはキヤノンのみであるため、「ナノインプリントレジスト」も暫くはキヤノンにのみ納入される。

出典:富士フイルム ニュースリリース