半導体材料大手、信越化学工業は4月22日、米国のスタートアップ企業、Setex Technologiesが開発した「生物模倣による乾式接着技術」を使用する権利を取得したと発表した。ヤモリの手を模した構造を使って接着する技術で、ウエハの仮接合向け接着/剥離材料等への応用を想定している。

Setex Technologiesは、先端が分岐した極細の毛が高密度で生えているヤモリの手の特徴に着目し、ヤモリの手を模した構造を材料表面に作り込むことにより、材料に強摩擦、粘着、接着性を与える技術を開発した。信越化学工業は新たな要素技術として生物模倣による機能発現技術に着目し、Setex Technologiesから取得した技術と、それに最適化した自社材料を組み合わせた「ShineGrip」という技術により、接着剤や粘着剤を使わず、様々な分野への応用を実現するとしている。

具体的には、接着剤残渣フリーな、クリーンな工程内での対象品のハンドリング、接着剤では対応できない高温でのプロセスにおける対象品の保持機能の付与、接着剤無しでの繰返し接着の実現により、顧客のGXを促進し、環境フレンドリーなプロセスの実現に貢献する。

信越化学工業は半導体プロセスをはじめ、材料の表面に摩擦力や接着剤が繰り返し求められる用途に対し、「ShineGrip」を用い、新たな技術提案を行っていくとしている。

出典:信越化学工業 ニュースリリース