半導体材料大手、信越化学工業は4月25日、シリコンウエハの研磨加工などを手掛ける三益半導体工業を完全子会社にすると発表した。信越化学工業は現在、三益半導体工業の株式を43.87%所有する筆頭株主であるが、今回、TOBを通じ、全株式を取得する。取得額は約680億円。TOBの開始は2024年7月下旬を目指すとしている。

三益半導体工業は現在、信越化学工業からのみプライムウエハの加工を受託しており、その結果として、高精度かつ生産性の高いシリコンウエハ加工プロセスを確立、世界最高水準のクリーンルームを有する300mmウエハ工場における量産体制を構築している。半導体業界は需給や市況の変化が激しく、両社が今後も競争優位性を維持するためには、より高度な技術開発や供給の安定化などが求められるという理由から、三益半導体工業側もTOBに賛同した。

完全子会社化により、ウエハ生産能力のより円滑な配置、人的交流の拡大、知見やノウハウの共有によるウエハの品揃え拡充、三益半導体工業のコスト削減、信越化学工業グループのウエハ再生技術の応用、三益半導体工業のスピンプロセッサの販路拡大、災害時のリスク分散強化などが期待される。

信越化学工業は三益半導体工業の子会社化について、「信越化学工業グループの電子材料部門の成長のためには、シリコンウエハをはじめとする半導体事業の多面的な拡大が不可欠で、三益半導体工業の事業が大きな力になると考えている」と説明した。

出典:信越化学工業 ニュースリリース