半導体受託製造最大手、台湾・TSMCは4月8日、アリゾナ州フェニックスへの工場建設に関して、米商務省とCHIPS法に基づいた最大66億ドルの直接資金提供に関する予備的覚書(PMT)に署名したと発表した。同時に、同州に第3工場を建設する計画も発表した。

現在、同社のアリゾナ工場は、第1工場が完成に近づき、第2工場も建設中である。これに第3工場をさらに建設すると総工費は650億ドル以上になり、アリゾナ州史上最大の海外直接投資、また米国史上最大のグリーンフィールド・プロジェクトへの海外直接投資となる。第1工場は2025年上半期までに4nmプロセスでの生産を開始し、第2工場は2028年初までに発表済みの3nmに加え、世界最先端の2nmプロセスでの生産を開始する予定。また、今回新たに建設が発表された第3工場では、2034年までに2nm以降の最先端プロセスでの生産を開始する予定である。

これら3つの工場は、同社の他の先端ファブと同様に、クリーンルーム面積が業界標準のロジックファブの約2倍の規模になる見込み。また、3工場によって、約6000人のハイテク・高賃金の直接雇用を創出し、米国の大手企業が国産の半導体製品にアクセスすることを可能にするほか、累積で2万人以上の建設関連の雇用と、数万人の間接的なサプライヤーや消費者の雇用が創出されるとする。

同社の劉徳音会長はCHIPS法による助成について、「米国で最先端の製造技術のファウンドリーサービスを提供することを可能にする」とし、「米国での事業展開により、世界有数のテクノロジー企業数社を含む米国の顧客をよりよくサポートできるようになる」と強調した。

なお、同社はCHIPS法による助成に加え、最大50億ドルの融資も米政府から受ける見込みである。さらに、IT(情報技術)投資に関する税優遇措置も受けることができる見通しである。

出典:TSMC News Release