ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は3月28日、タイのバンカディ工業団地にある半導体製造事業所「Sony Device Technology(Thailand)(SDT)」の敷地内で建設を進めてきた新棟が同年2月より稼働開始し、竣工式を開催したと発表した。投資額は約100億円。

SDTは1988年に設立され、イメージング&センシング・ソリューション事業の後工程を担っている。今回完成した新棟は「4号棟」となり、3層構造で延べ床面積はユーティリティ棟を含み6万6370平方メートル。クリーンルーム面積は1層当たり8,800平方メートルで、3層全てに実装されると6,400平方メートルとなる見込み。主に車載用のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーの本格的な組み立て製造を担う。これに使用するSiウエハは同社の製造事業所であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)の熊本テクノロジーセンターの前工程で加工されたものを調達する計画だ。また、イメージセンサーの他にも、ディスプレイデバイス、データセンター向けの半導体レーザーなどを生産する。

SDTの従業員は現在約1,600人だが、今後はさらに約2,000人の雇用創出を見込んでいるという。また、市場動向に応じて4号棟への生産設備拡充も図る。人件費の比較的安いタイでの生産を拡大することにより今後の需要に対応し、競争力を高めようという構えである。

なお、SDTでは2021年度より再生可能エネルギー100%による稼働を達成しており、4号棟のクリーンルームでも、必要な部分に絞って清浄度や温湿度を管理する空調システムや、廃熱および温水を再活用するリサイクル技術などを採用する。また、年内に4号棟の屋根ほぼ全面に太陽光パネルを設置し、全面稼働させることで、再生可能エネルギー100%による稼働を維持するとしている。

SDTの松田健マネージングディレクターは「4号棟の完成により、中長期的な市場拡大が見込まれる製品群を、より多くのお客さまにお届けできることを大変嬉しく思う」と期待を寄せた。

出典:ソニーセミコンダクタソリューションズ ニュースリリース