米半導体大手Intelは、2023年6月16日以降、1週間経過しないうちに、次々と欧州各地に半導体工場を建設することを発表している。

同社では、まず6月16日、ポーランドのヴロツワフ近郊を、最先端の組み立て、テスト(後工程)施設として、工場を建設することを発表した。投資金額は46億ドルで、施設は今後拡張可能であるとしている。工場の完成時には2,000人の従業員が従事するとしている。

 

このポーランドの後工程工場はアイルランドのLeixlip工場、ドイツのマグデブルクに建設を計画する前工程工場と連携して、ヨーロッパにおけるend-to-endの工場となり、欧州のサプライチェーンに大きく貢献するものとしている。

次いで6月18日には、イスラエルのネタニヤフ首相がIntelがイスラエルに半導体工場を建設することを発表した。投資金額は250億ドル(2021年の100億ドルの投資も含まれる)となり、最先端技術を使うものになると発表した。まだIntelからの発表はない。

翌日の6月19日には、計画中のマグデブルク工場について、ドイツ政府との合意文書に署名したことを発表した。今回の合意は、マグデブルクに投資する金額を拡大するものとなり、工場2棟に対して投資額が300億ユーロ以上となる見込みである他、当初の発表時からの範囲拡大や経済状況の変化に伴なった、インセンティブを含む政府の支援が強化が発表されている。ドイツ政府はIntelに対して総額の1/3となる100億ユーロ相当の補助を行うとしている。合意内容には補助金の支援に加え、エネルギー価格の上限設定も含まれている。

 

 

これらの計画は、6月16日に発表した新たなIDM2.0 戦略によるものであると見られ、最先端の技術を欧州大陸に導入し、EUの次世代サプライチェーン構築を支援するとともに、よりバランスのとれた強靭なサプライチェーンに対する世界のニーズに応えていくとしている。

Intelは、SamsungやTSMCといった先端半導体を生産する他の企業が製造拠点として入り込んでいない欧州に対して、既存の施設が欧州内にも既に存在する利点を活かし、いち早く大規模投資を行い、政府の支援を得ることが出来た。

TSMCも現在ドイツ東部のドレスデンに工場を新規に製造する計画を持っており、補助金について等で交渉を続けている。生産するプロセスノード等も含めて、動向が注目される。