3月8日、中国が過去最大規模の半導体ファンドの準備をしていることが明らかになった。米の対中規制に対抗するため、先端技術の研究・開発を加速させる狙いがある。

中国の政府系半導体ファンドである国家集成電路産業投資基金は現在、第3号となる今回のファンドの資金を地方政府や国有企業から調達している。その規模は第2号ファンドの2,000億元を上回るものになるとみられる。

国家集成電路産業投資基金は中国の半導体産業の海外依存率が高いという問題を解決するため、2014年に工業情報化部と財政部の指導のもとで設立され、「大基金」とも呼ばれる。第1号ファンドは産業レイアウトを完成させる目的で成立。約1,300億元を調達し、主に集積回路チップの設計、製造、パッケージング、テストなどの分野に焦点を当て、SMICや長江メモリなど数十社を支援した。また、第2号ファンドは核心装置と主要部品、半導体産業チェーンのセキュリティを目的に成立。約2,000億元を調達し、エッチング装置、薄膜装置、試験装置、洗浄装置などの装置、大型シリコンウェハー、フォトレジスト、マスクプレート、電子特殊ガスなどの材料に焦点を当て、40社以上の企業に投資を行ってきた。

第3号ファンドではAI半導体が焦点になるとみられる。調達資金は最大で約3,000億元となる。主に地方政府やその投資部門、国有企業が中心になり、中央政府の支援は一部に留まる。米国が中国の半導体やAIの進化を阻止するために強力な規制を敷いている中、AI向けロジック・メモリの国産化を促進し、世界の半導体市場における中国の優位性を確立しようという構えだ。

中国では米による規制が敷かれる中、2023年にHuaweiとSMICが回路線幅7nmの先端半導体を製造したが、これには米・Applied MaterialsやLAM Research製の装置が使用されたとみられ、完全国産化にはまだ時間がかかるとみられている。「大基金」の第3号ファンドは年内に成立するとみられ、同ファンドによる巨額投資が技術発展に寄与するか、注目する必要がある。