2023年12月21日、韓国・サムスン電子が横浜市西区の「みなとみらい21地区」に、半導体の次世代パッケージング技術の研究拠点「アドバンスド・パッケージ・ラボ(APL)」を設立することが発表された。投資金額は今後5年間で400億円を上回ると予想される。また、経済産業省は同日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択事業者として、同社日本法人の日本サムスンを選定した事を発表した。これにより、日本政府は同社の計画に最大200億円の助成金を支給する。

このAPLは、総面積2,000坪の技術研究施設と事務所などを置く。同社は日本国内と韓国内から約100名を採用し、半導体パッケージングと材料、部品、装置技術の開発を推進する計画であり、同拠点は今後同社の先端パッケージング技術開発の中心拠点となると見込まれる。

具体的には、高性能コンピューター(HPC)と人工知能(AI)分野のプロセッサー用3次元チップレットモジュールを開発する。但しこれには、既存の微細化やパッケージングよりも進化した技術であるため、材料から開発を行っていく必要がある。同社は材料、部品、装置に強みを持つ日本の企業、大学、研究機関と協力することで、こうした技術を開発しようという構えである。

また、同社と競合する台湾・TSMCの日本への大規模投資も今回の同社の計画に影響を与えたものと見られている。TSMCは熊本県に工場を建設しており、第1工場は2024年の稼働予定である。また、これに合わせて日本の材料、部品、装置メーカーとの連携も強化している。こうした動きに対抗するため、サムスン電子も日本に積極投資をする方針を示したとみられ、APL設立に先立ち、同じ横浜に「デバイス・ソリューション・リサーチ・ジャパン」というR&D施設を2023年3月に既に設立している。

同社CEOのキョン・ゲヒョン氏は、「日本の現地企業、大学、研究機関などと協力して、サムスンは持続的な技術研究により、半導体全般のリーダーシップを強化する」と述べた。最先端半導体の開発に向けて、日本製の先端材料、部品、装置は不可欠であり、同社を含め、今後も日本への積極投資は継続するものと見られる。