パワー半導体及びloT向けの半導体の大手である、独Infineon Technologiesは8月3日、マレーシアのクダ州クリムに世界最大の200mmSiCウエハ製造工場を新設する計画を発表した。

同社は2022年2月、クリムに20億ユーロを投じ、第3製造棟としてSiC/GaN半導体の前工程工場を建設すると発表し、2024年の生産開始に向けて工事が進められている段階である。今回の発表により、この計画が大幅に拡張されることとなり、同社は今後5年で最大50億ユーロの追加投資を行う予定である。

同社のSiC製品は現在、オーストリアのフィラッハ工場で生産されているが、クリム工場での能力拡張とフィラッハ工場の200mmウエハへの転換により、今後10年後までにSiCの売上高を年間70億ユーロに拡大する見込みである。これにより、同社の掲げる「10年以内に市場シェア30%の獲得」という目標にも貢献できるとしている。

なお、今回の計画の拡張は、既存および新規顧客からの車載および産業用アプリケーションにおける約50億ユーロの新規デザインウィンと、約10億ユーロの前払いに後押しされている。後押しを受ける顧客のうち、車載部門には、Ford Motor Companyや上海汽車集団、奇瑞汽車などの自動車メーカー6社、再生可能エネルギー部門ではSolarEdgeや中国の大手太陽光発電およびエネルギー貯蔵システム会社 3 社が含まれる。また、Schneider ElectricとSi及びSiCをベースとした製品に関し、前払いを含む生産能力確保について合意したことも明らかにした。

同社のヨッヘン・ハネベックCEOは、「SiCウエハの市場は自動車だけでなく、太陽光発電、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)急速充電器などにも幅広く用いられており、クリム工場の拡張により、市場のリーダーとしての地位を確立できる」と自信を述べている。