中国のSiC大手ウエハメーカーであるTankeBlue社とSiCC社は、パワーデバイス世界最大手の独Infineon Technologiesに向けて、6インチSiCウエハとSiCブールを供給することを発表した。両社のSiCウエハは、将来的に予測される需要の二桁%をカバーする予定だとしている。

Infineon Technologiesは、SiCパワーデバイスの世界シェアでも、2位につけているが、首位のSTMicroelectronics社や3位につける米Wolfspeed、SiCrystalを子会社に持つロームのように、自社でSiCウエハを供給することが出来ない事が課題で、レゾナックやWolfspeed、COHERENTといった複数のSiCウエハメーカーと長期供給契約を締結してきた。今後も需要が急速に拡大することが見込まれる中で、SiCウエハの安定確保を図る意図が感じられる。

また、両者の契約発表のプレスリリースでは、「中国市場における自動車、太陽光、EV充電アプリケーション、エネルギー貯蔵システム向けのSiC半導体製品の需要拡大に関しても、サプライチェーン全般の安定に寄与する」と記載があり、InfineonのSiCパワーデバイスは、中国市場に向けて積極的に供給される可能性がある。

また、将来的にTanKeBlue/SICCは8インチSiCウエハも提供することを予定しており、Infineonの8インチ径への移行をサポートしていく。

Infineonでは、10年後までに世界シェア30%という目標を達成するため、現在、SiCの製造能力を拡大しており、同社のSiC製造能力は、2027年までに10倍になる予定。2024年にはマレーシアのクリムに新工場を建設し、オーストリアのヴィラッハにあるインフィニオンの製造能力に加え、生産を開始する予定。

SiCC社は、2010年に設立され、SiCウエハの研究開発、製造、販売に注力する技術系企業である。昨年の売上は約81億円。

TankeBlue社は、2006年9月に設立された国営企業で、SiCウエハの研究開発、製造、販売を行っている。北京大興区生物医薬産業基地に本社を置き、研究センターとエピタキシャル成長、ウエハの加工、洗浄、テストエリアといった製造拠点を持つ。新疆ウイグル自治区石河子市にある子会社の新疆丹科藍半導体有限公司はSiC結晶成長を全般的に担当している。