米商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は2023年4月26日、米国CHIPS and Science ACT of 2022(CHIPS法)で推進される半導体研究開発プログラムの中核となる「National Semiconductor Technology Center (NSTC:国立半導体技術センター)」の戦略レポート「NSTCのビジョンと戦略」を公表した。現在はNSTCの組織化や人選が遅れており、資金提供は今秋以降になる見込み。
同レポートでは、以下の3つが目標として示されている。
1.半導体技術における米国のリーダーシップの拡大。
米国で最新の半導体技術を設計、試作、試験運用することは、将来のアプリケーションと産業の基盤を提供し、国内の半導体製造エコシステムを強化する。

2.設計アイデアから商品化までの時間とコストの削減。
NSTCは、半導体および関連製品の設計、試作、製造、パッケージング、およびスケーリングのための共有施設と専門知識を活用し、米国のイノベータに経済と国家安全保障を前進させる重要な能力を提供する。

3.半導体の人材開発エコシステムの構築、維持。
NSTCは、科学者、技術者を含む技術労働力を拡大するための調整機関およびセンタオブエクセレンスとして機能する。NSTCの労働力プログラムは、技術者のトレーニングおよび再教育の拡大をサポートする。

NSTCのプログラムは、半導体エコシステム全体(ファブレス、研究機関、大学、州および地方政府、国立研究所、ファウンドリ、デバイスメーカー、製造装置ベンダ、材料サプライヤ、労働組合、投資家など)を対象としており、新規材料やプロセスへのアクセス、IPや設計ツール、チップレット技術の構築と多様な製品の蓄積、新興企業のインキュベーション支援などのサービスを提供することを目指す。

なお米国半導体工業会(SIA)は今回のレポートに賛意を表明している。