米国政府は10月10日、真空ポンプを手掛ける英Edwards Vacuumのニューヨーク州ジェネシー郡での工場建設計画に対し、最大で1,800万ドルを支援することを決定した。バイデン政権による半導体産業の国内サプライチェーン強化策であるCHIPS法に基づいたもの。

同社の手掛けるドライ真空ポンプは装置の下に設置され、有毒な煙や化学物質を排出することで、ウエーハを処理するチャンバー環境を維持するものである。先端半導体や従来の半導体を製造するのに欠かせないドライ真空ポンプであるが、現状米国内では製造されておらず、国内での供給態勢を整えるのが急務であった。

同社は2022年にニューヨーク州の西側に位置するジェネシー郡のサイエンス&テクノロジーマニュファクチャリングパーク内に工場を建設する計画を発表し、ドライ真空ポンプを製造するとともに、約600名の高給の雇用を創出するとしていた。投資総額は319億ドルに上る。今回、米政府からの支援が決定したことにより、計画が本格的に始動することになる。完成時期などについては明らかになっていない。

米秘書官のGina Raimondo氏は「すべての半導体メーカーが工場を運営するのに必要なドライ真空ポンプを国内で製造するという戦略的かつ的を絞った投資提案は、半導体サプライチェーンのあらゆる部分を米国内で構築するために私たちが取り組んでいることのもう一つの例だ」と述べ、今回の支援の重要性を強調した。

同社の工場が完成すると、米Micronや米GlobalFoundriesなどのニューヨーク州の新工場や米Intelのオハイオ州の工場がドライ真空ポンプを利用することができるようになるため、各メーカーの待ち時間が短縮され対応力が向上する。そのうえ、米国製製品による二酸化炭素排出量も削減されるという。

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