GNC letter
GNCレター
米商務省は2025年12月15日、CHIPS法に基づき、韓の非鉄金属大手、高麗亜鉛(KOREA ZINC)の子会社である米Crucible Metalsに対し、2億1,000万ドルを助成すると発表した。同社が米テネシー州クラークスビルに建設を計画する製錬・重要鉱物処理施設への設備投資に充てられる。
高麗亜鉛は韓国・ソウルに本社を置く鉱物生産のグローバルリーダー。韓国・蔚山市温山に世界最大の非鉄精錬所を運営している。同施設では、年間100万トン以上の鉱物を生産しており、中でも亜鉛・鉛・銀・インジウムの単一拠点としては世界最大の生産量を誇る。同社が生産する鉱物はSi半導体や化合物半導体の製造において不可欠であるほか、硫酸はウエーハ洗浄において特に重要であり、現在、韓サムスン電子や韓SK hynixにとって最重要サプライヤーとなっている。
同社が計画する米テネシー州の製錬・重要鉱物処理施設は温山精錬所の高度な複製として、2029年までに稼働開始が見込まれており、稼働開始後はガリウム、ビスマス、ゲルマニウム、インジウム、アンチモン、テルル、カドミウム、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、鉛、硫酸(半導体製造向けグレードも含む)を扱い、年間54万トンを生産する計画である。設備投資費用は総額約66億ドルに上る見込みで、運転資金や金融コストを含めると、約74億ドルになる見込みである。同社の生産する鉱物、化学品は半導体製造に直結するという意味で米の経済安全保障上極めて重要であるという理由から、同社に対してはCHIPS法による助成に加え、国防省の戦略資本極も条件付き融資を発表している。
なお、高麗亜鉛は2026年より米政府・米国顧客に対し、韓国で生産される10種類の重要・戦略鉱物への優先アクセスを提供することにも合意した。テネシー州の施設完成前から米国内への供給を安定化させる狙いである。
CHIPSプログラムのディレクターであるBill Frauenhofer氏は、「今回の66億ドル規模の国内プロジェクトと、米国が拡大して利用できるようになる高麗亜鉛・温山施設の鉱物生産は、米国企業にとって潜在的なボトルネックを緩和する助けとなるだろう」と期待した。
出典:NIST Press Release
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