レゾナックは2023年1月17日、次世代通信規格6G向け半導体の新材料開発を分子設計レベルから進めるプロジェクトを立ち上げることを発表した。同プロジェクトは、同社が同月横浜市にオープンしたR&Dの中核拠点「共創の舞台」で、ベンチャー企業や大学と協業して取り組んでいく。
「共創の舞台」には2022年12月末までに、計算科学や材料解析などのプロフェッショナルな機能組織を集結、それらの力を今回の開発にも生かしていく。

6Gでは、通信速度が5Gの100倍となるため、伝送損失を大幅に削減する新しい半導体材料が求められている。同社は複合材料用の樹脂、フィラー向けのセラミックス・界面制御技術など、素材合成の段階からゼロベースで開発に取り組んでいく。
具体的には、新材料の開発で必要となる特性を出すためにどの材料をどう組み合わせるかは、分子設計の段階からシミュレーションやAIを活用して探索していく。
これにより、従来は見出すことが出来なかった化学構造式を短期間で導き出すことが可能になる。

こうした開発を支えるため「共創の舞台」には、計算科学、材料解析、量産化のための製造プロセス技術・設備管理、化学品安全管理・評価の専門機能を持つメンバーを集結している。
例えば、「計算情報科学研究センター」には、これまで石油化学や基礎化学分野で分子設計レベルの触媒開発などに携わってきたシミュレーション・AI・MIなどについてのスペシャリストが70人在籍しており、その多くが半導体材料の開発にシフトして、今回のような開発を支えていく。
生産プロセスの検討段階では、量産化技術の専門家が活躍することになる。

「共創の舞台」の長期R&Dテーマとしては、6G向け半導体材料以外にケミカルリサイクルがあり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、プラスチックの原料であるエチレン等を使用済みプラスチックから直接作る方法を探っていく。