中国最大の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)「以下、SMIC」が2021年に7nmプロセスのチップを量産した可能性があると報じられている。

半導体調査企業であるTech Insights社は仮想通貨(暗号資産) ビットコイン(Bitcoin)のマイニング(採掘)装置企業である米MinerVa社の装置を購入し、その装置に使われているMinerVA7(「MV7」)チップを分解すると、SMICの7nm(「N+2」)プロセスのチップが使用していることがわかった。また、米MinerVa社は、自社のHPで、同半導体を製造した企業名には触れずに、2021年7月に量産を開始したと説明した。

しかし、このチップが本当に7nmの「N+2」チップかは疑わしい点もある。SMICの梁孟松 CEOが発表した情報によると、同社既存の14nmプロセスの発展型である「N + 1」プロセスで製造されたチップの性能は20%向上し、消費電力は57%削減、ロジック部分の面積は63%、SoC部分の面積は55%削減された。このロジック部分の縮小面積を見ると、「N+1」チップは7nmプロセスに近いチップであるといえる。そのことから、「MV7」が「N+2」では無く、「N+1」チップを使用している可能性もあるという。

MinerVa7チップ(出典:TechInsights)

米国政府は2020年後半以降、10nmプロセス以下の半導体を製造するための米国製半導体製造装置のSMICへの輸出を禁止している。もちろん10nm以下で積極的に利用されるEUV露光装置も輸入することはできない。しかし今回の調査結果が事実だとすれば、そうした最先端半導体製造装置が利用できないにもかかわらず、7nmプロセスを使用したSoCの製造に成功したことになる。

SMICと米MinerVa社の担当者はコメント要請に応じなかった。